上掲の国際研究集会で取上げた『Sugar and the Indian Ocean World: Trade and Consumption in the Eighteenth-Century Persian Gulf」(砂糖とインド洋世界ー18世紀ペルシャ湾における交易と消費ー)は、ブルームズベリー社 (英国)より刊行(2024.8)されています。
ライデン大学東京事務所
オランダ国ライデン大学 (1575年設立) は、オランダ最古、ヨーロッパでも最も古い総合大学のひとつであり、欧州研究大学連盟発足時(2002年)からの加盟大学です。
日本とは、17世紀にまでさかのぼる長い関係があり、オランダ東インド会社(VOC)に雇われて長崎の出島に滞在し、日本についての著作を残した人たちも、多くはライデン大学で学んでいます。そして、シーボルトの弟子のヨハン・ヨゼフ・ホフマンを初代日本語教授とした世界初の日本学講座を開設(1855年) しました。幕末から明治にかけて日本の近代化に貢献する西周や津田真道ら幕府派遣留学生もライデン大学で学び、以来今日まで、多くの日本人留学生・研究者を迎え入れています。
ライデン大学は主として、日蘭関係史研究で重要な役割を果たした財団法人日蘭学会を通じて、1975年に始まり2011年まで日蘭研究のみならず、日本との間にあらゆる分野の学生・研究者の交流を行う数々のプログラムを実施してきました。
同会の解散(2012)にともない、東京都中央区役所のご理解と、オランダ国コーツ財団(https://www.cortsfoundation.org)のご支援を得て、2012年3月東京事務所を開設し、日本および日本国内の協定大学との関係維持、現行の研究プログラムの継続、ならびにライデン大学でも重要とされているアジア研究の支援を目的に活動しています。
なお2023年4月より社会環境の変化に伴い事務所を持たず活動はオンラインに移行しました。
主な活動
- 広くアジア (特に日蘭関係) にかかわる研究の支援、『日蘭学会リポジトリー』の運営
- コーツ財団「戦史叢書」翻訳プロジェクト (2013.4 - 2021.5) の対応/管理
- 留学生・研究者への支援 (来日・渡蘭ほか)
- その他、シンポジウム、講演会、講座など付随する活動
お知らせ
Leiden University Office Tokyo
Leiden University (1575) is the oldest university in the Netherlands and one of the oldest in Europe. It is a founding member of the League of European Research Universities (LERU). The university has a long history of involvement with Japan, dating back to the seventeenth century, when quite a few Leiden alumni worked in, and published about Japan in the service of the Dutch East India Company. The university prides itself on having the oldest department of Japanese studies in the world, established in 1855 when Johann Joseph Hoffman, a disciple of the famous Philipp Franz von Siebold, was appointed professor in the Japanese language. Also the first Japanese to study abroad at the end of the Edo period, such as Nishi Amane and Tsuda Mamichi, went to study at Leiden University, which until today welcomes many Japanese students and researchers.
From 1975 through 2011, Leiden University conducted its academic exchange programs with Japan for students and researchers from all disciplines mainly through the Japan-Netherlands Institute (Nichi-Ran Gakkai), which also played an essential role in the study of the historical relations between Japan and the Netherlands.
After the closure of the institute, Leiden University obtained in March 2012 the understanding of Chuo City in central Tokyo and the support of the Corts Foundation, a Dutch foundation which focuses on the research, preservation, and opening up of historical sources concerning the Dutch presence in Asia, to set up a new representative office, the Leiden University Office Tokyo (LUOT), in order to maintain its relations with Japan and its many Japanese sister-universities, to continue several existing research programs, and to support the field of Asian Studies which are a priority at Leiden University. In November 2012, the office was officially opened with an international symposium.
On 31 March 2023, the doors of the Leiden University Office Tokyo finally physical office has been closed, we intend to move all our activities fully online basis.
Main activities
- Support of research on Asia in general and Dutch-Japanese relations in particular, and maintaining the Repository of the Japan-Netherlands Institute.
- Implementation of the War History Series Translation Project (2013-2021) of the Corts Foundation
- Support of students and researchers going to Japan or the Netherlands
- Organization of symposia and lectures, promotion of the Dutch and Japanese language.
コーツ財団
コーツ財団は、ケース・コーツ (Kees Corts:C.W. Corts 1920-2005) により2003年に設立されたオランダの非営利団体です。同財団の主な活動としては、アジアにおけるオランダの存在 (影響力) 特に17、18世紀オランダ東インド会社文書ならびに第二次大戦の日本によるオランダ領東インド (現インドネシア) 占領とその後に関する史料の調査・保存・公開をしてきました。
2021年それらの予定されたプロジェクトが終了したため、これまで行っていた活動は、ライデン大学と協力関係にあるKITLV(東南アジアとカリブ海研究所)内に新設の「フィリプス・コーツ基金」‘Philippus Corts Fonds’に移管しました。
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ケース・コーツは、1920年、現インドネシア (スマトラ) で開業医を父に生まれ、1939年に同氏の大学進学のため、両親および弟フィリップス (Philippus) とともにオランダ本国へ帰国しました。第二次世界大戦はケース・コーツの人生に深い傷あとを残しました。ケースと弟はオランダのレジスタンス運動に参加していましたが、終戦間際に弟がドイツ軍に捕えられて処刑され、この悲痛な事件に責任を感じたケースは、第二次世界大戦へのこだわりと事実を知りたいとの切羽詰った思いを強めていきました。ケースの言葉を借りれば、この財団の設立は、「歴史の“霧”に霞んだ犠牲者たちを救うため」でした。
これはオランダ本国にとどまらず家族にとって身近であったオランダ領東インド (インドネシア) も含んでゆき、結果として、アジアにオランダが影響力を有していた時代全般、特にオランダ東インド会社の時代へと広がりました。
詳細は、コーツ財団のウェブサイトをご覧ください。: https://www.cortsfoundation.org
[日蘭学会リポジトリー]の管理運営
このサイトは、日蘭関係の歴史やオランダの文化・学術などに関心を持つ方々に広く活用されることを願い、また日蘭の学術研究が進むよう原稿の著作権を持つ方々のご理解とご協力を得て2022年6月より公開しています。今後とも著作権を持つ方々と連絡を取り順次公開し充実させて参ります。
(無断借用/転載を禁ず)
オランダ関連研究サイト『日蘭学会リポジトリー』運営委員
Custodians of Repository of the The Japan-Netherlands Institute
- レオナルド・ブリュッセイ Prof. Dr. (em) Leonard Blussé, Leiden University
- ウィム・ボート Prof. Dr.(em) Wim J. Boot, Leiden University
- ウイレム・レメリンク Dr. Willem G.J. Remmelink, Former executive director of the Japan-Netherlands Institute
- イフォ・スミッツ Prof. Dr. Ivo B. Smits, Leiden University (LIAS)
- ヨアン・スネレン・ファン・フォレンホーヴェン Mr. Joan C. Snellen van Vollenhoven, Former Secretary- General, The Corts Foundation )